三月の愚痴

趣味で参加している演劇で四月末に公演があるため、今月は練習に忙しい。台詞を覚えて話すだけならこれまでの要領でもこなせるのだけど、今回の公演では私史上初めてダンスを劇中でこなさなくてはならないので、ある程度は激しい動きも出来なくてはならない。だから練習もノホホンとしたものではなく、まあまあつらい。その割りに全体の完成度が上がっていく実感がほぼ無く、これもまあまあつらい。自分の出来る範囲で劇が面白くなるようにがんばらねばと思う。

 

今回私は役者として参加するのだけど、なんと私以外の役者陣は全員顔見知りで、私だけが各人と初対面らしいから驚いた。最初はそんな訳で尻込みしたけど、というか今でもかなり尻込みしているけど、段々稽古場でも会話が増えてきて嬉しい。しかし関係の要領が掴めてきた途端に各人のいやな部分も見えてきてしまうのは、どうなんでしょうか。そんなあっさり見えてしまって、いいのか。きっと私のいやな部分も見破られているのだろうな。

 

そう思うと、左足のふくらはぎがシュッと張る。

 

主役を演じるKさんとはよく休憩中にコンビニまで夕食を買いに行っていることもあり、一番よく話す。Kさんは練習の最中にも空気が停滞すると冗談を言って雰囲気を換えてくれるのだが、その分滑ることも多い。無理だけはしないでほしい。先日は稽古後に一緒にラーメン二郎を食べに行った。たまたまその時、稽古があまりに遅々として進まないことにイラついていた私は、ヤサイニンニクマシラーメン(660円)を食べながらKさんに「稽古中、芝居手抜きしてたでしょ」と暴言を吐いた。Kさんは明らかに困惑していたので私は感情を察知しすぐに謝ったのだが、そこにはシコリが確実に残ってしまっていた。

 

その翌日のことだ。稽古後、Kさんは私とトイレにて練習着から着替えている最中、ふいに「今日の稽古は手抜きしてなかったでしょ?」と聞いてきた。ぞっとするような申し訳なさを覚えた。ああ、ごめん。Kさん、本当にごめんなさい。


ストレスから開放されんが為、最近はカレーを食べることが多い。カレーを食べるとセロトニンっていう、幸せな気分を生み出す脳内物質が出るんだよ、だから半分麻薬みたいなもんなんだよ、凄いよね、などと店に向かう道中で仲がよくも悪くもない友人に話す。仲がよくも悪くもないからか、大した反応は得られない。だからどうってことはない。カレーを食うと眠たくなる。これが良い。目下、シンプルな欲望しか私を癒してくれない。カレーにも飽きてきたら何かが終わっちゃうかもしれないという予感がある。